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兵庫県姫路市で住宅設計を生業とする建築士、今村智則の徒然記


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天井


石膏ボードの上にビニルクロス等を貼って仕上げた天井が一般的です。私はビニル樹脂をできるだけ使わないように心がけているので、ビニルクロスではなく月桃紙という和紙貼りを採用しています。

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ビニルクロスの素材感さえ邪魔でよりシャープでシンプルな印象にしたい時には、石膏ボード等の目地処理をしてからペイント仕上げにする事もできます。これだと本当のつるつるにできます。つるつるにもできますが、刷毛(ハケ)仕上げなどの塗装の仕上げ方次第ではより強く存在感を出すこともできます。

もっと落ち着いた雰囲気にしたい、高級感を出したいという場合には、木の板・羽目板貼があります。座敷の天井はほぼ杉板貼ですし、勾配天井の部屋へ羽目板貼りの天井はよく見かけます。木質感からくつろいだ雰囲気が増すように思います。ただ、存在感があるので、天井の高さや部屋の広さによっては圧迫感を感じたり部屋を狭く感じたりすることがあります。広めの部屋や高い天井で採用するのがお勧めですが、天井を低く落ち着いた雰囲気に見せたい時に低い天井の上にわざと利用したりもします。

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これらはいずれも天井を張って2階の床組や小屋組を隠す工法ですが、古民家などで見られるように天井を張らずに上階の床組や小屋組みをそのまま見せる工法もあります。

2階の床裏を見せる場合は床としての強度が必要なので12~15mmの一般的な薄いフローリングではなく、Jパネルと呼ばれる36mmほどの厚い積層板や杉の30mm~35mmの厚板フローリングなどが利用されています。
床裏だけでなく梁等の構造材も露出となります。天井を張れば隠れてしまう梁も化粧で見えてしまいますので、樹種や木目に気を配った良材を使った上にカンナ掛けなどの仕上げも施さないといけないのでこの点でもコストアップになります。

雰囲気はかなり良くなりますが、2階の床が直接1階の天井となりますので、音が直接聞こえてしまいます。天井が張ってあってもそれほど多くの音を遮断しているわけではありませんが、直接響くとなると小さな音も良く聞こえてしまうでしょう。家族の生活感はあった方が良いという方には何の問題もありませんが、気になる方はご注意ください。

また照明などの電気配線が隠せません。照明器具の種類や取り付け位置などをよく検討し間接照明を採用する方が良いでしょう。現し天井の中に照明器具を取り付けないといけない場合には、配線の処理をうまくしないといけません。

そこで、化粧の梁をできるだけ大きく見せながらできるだけ高い位置で梁の間に羽目板などで天井を造ってしまうという床現し風の天井もできるでしょう。電気配線は隠せますが、コストはかかってしまいます。

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天井ひとつとっても様々な素材が利用され、いろいろな雰囲気を作ることができます。

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# by imtom | 2017-03-27 09:00 | 木造住宅にまつわる事柄 | Trackback | Comments(0)

これまで平成28年省エネルギー基準で定められている断熱性能に関係する外皮平均熱貫流率(Ua)と冷房期の日射熱の侵入しやすさを表す冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)についてお話ししました。これらは、室内空間をすっぽりと覆い外部空間と隔てている屋根・壁・窓・ドア等(外皮)の性能に関わる基準です。外皮性能を高めることにより冷暖房の効率が良くなり省エネルギーに結びつきます。

省エネルギーの基準ですから、住宅内でエネルギーを消費する設備機器や電化製品そのものが消費電力の少ない効率の良い製品であれば省エネルギーに貢献していると言えます。

そこで、暖冷房、換気、照明、給湯による設備のエネルギー消費量と家電などのエネルギー消費量に太陽光発電パネルなどによるエネルギー消費量の削減量を対象とした一次エネルギー消費量基準が平成28年省エネルギー基準で定められています。

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冷暖房のエネルギー消費量には各機器のエネルギー効率だけでなく、外皮性能の断熱性能や日射熱取得率が大きく影響します。換気設備では直接吸排気する方式ではなく、熱交換型の換気設備の方が有利になります。照明設備ではLED照明は省エネに大きく貢献する一方、白熱電球は不利に働きます。給湯設備も高効率化が求められるようになり、電気ヒーターで温めるだけの電気温水器よりも、ヒートポンプ技術を利用してお湯を作るエコキュートの方が有利です。
水栓に手元止水機能があるかないという細かな点も評価に入っています。
太陽熱利用の給湯設備や太陽光発電パネルをつけていれば当然有利に働きます。
消費量は各項目ごとではなく住宅全体での総量で比較しますので、どこかで不利な項目があっても他の項目でカバーすることができます。

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評価対象となる住宅で、設計仕様で算定したネルギー消費量が基準仕様で算定したエネルギー消費量以下となることが求められます。

外皮性能の外皮平均熱貫流率(Ua)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)の二つの基準と一次エネルギー消費量の基準が平成28年省エネルギー基準で定められています。2020(平成32年)年までに全ての新築住宅の省エネ適合が義務化される予定です。
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# by imtom | 2017-03-23 09:00 | 木造住宅の性能 | Trackback | Comments(0)

日射の影響を計る指標


今まで平成28年省エネルギー基準の断熱性能の外皮平均熱貫流率Uaに関係する話題をしてきました。しかし、平成28年省エネルギー基準で定められているのは断熱性能の外皮平均熱貫流率(Ua)だけではありません。冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)という基準も設けられています。

平均日射熱取得率は、日差しの影響よる熱(日射熱)の侵入し易さを表す指標です。数値が小さいほうが住宅に入る日射熱が少ないことを表します。夏は冷房の妨げにならないようにできるだけ数値が小さい方が良いのですが、逆に冬は日差しを多く取り込んで少しでも部屋内を暖めたいので数値が大きいほうが良いという矛盾を抱えています。

日差しの影響で侵入する熱の量に関係しますので、屋根・壁・開口部の断熱性能が高いほど熱は進入しにくくなり数値が小さくなります。

しかし、断熱性能以外に日射の当たり方、太陽と建物の部位(壁・屋根)の位置関係、すなわち面の向きが大きな影響を受けます。太陽高度の高い夏の正午あたりは、水平に近い屋根面は大きな影響を受けますが、鉛直な壁面への影響は弱くなります。しかし、日が昇る途中、日が沈む途中の東面や西面の壁には強い日差しが当たり大きな影響を受けます。夏の日中だと出幅の少ない庇でも効率よく日差しを遮ることができます。

逆に、太陽高度の低い冬は夏と違って壁面に一日中日射が当たりやすく夏よりも大きな影響を受けます。冬には多少出幅の大きな庇や軒があっても窓や壁面に日差しが当たりやすくなります。

窓ガラスでは単板ガラスよりも複層ガラスやトリプルガラスなどの断熱性能が大きなガラスほど日射熱が侵入しにくくなりますが、熱線反射ガラスなどの機能を持つガラスを利用する事でも大きな効果があります。逆に、ガラスには日射熱の影響を取り込むための日射取得型のガラスもあります。
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夏の日射はできるだけ排除しつつ冬には多くの日差しを取り込むためには次のような工夫を施します。
南側の開口部は、太陽高度が高い夏には日差しがさえぎられるように軒や庇の出を調整し、太陽高度が低い冬の日差しだけ取り込みます。この時ガラスに日射取得型のガラスを採用しておけばより多くの日差しを取り込めます。
一方、東面・西面では夏冬かかわらず太陽高度が低く庇等では日差しを遮るのが難しいので日射遮蔽型のガラスを採用し一年中日射の影響を排除しておきます。

平均日射熱取得率(η)はこのような影響を把握するための指標で、建物の向きや形状と太陽光の当たり方による熱の影響を数値化します。特に日差しの影響を排除したい夏の冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)が平成28年省エネルギー基準に定められています。

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# by imtom | 2017-03-21 09:00 | 木造住宅の性能 | Trackback | Comments(0)