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大黒柱を求めて岡山へ!

中国道を車で1時間ほど走り岡山県真庭市の勝山木材市場に、大黒柱を探しに行ってきました。
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その大黒柱は図面ではコストを優先すると桧材となります。しかし、希望は木目の綺麗な杉の大黒柱。綺麗な杢が出ていると銘木扱いでかなり高級なものになってしまいます。欲を言えば、やはりケヤキの大黒柱が理想です。それに、この地域の民家で大黒柱といえばケヤキがよく利用されています。

勝山木材市場は国産材オンリーのかなり大きな市場です。

まずは、壁の中に隠れる節ありのヒノキ材や、桧の土台、和室に利用する節のないヒノキの柱などごく一般的に利用する材料を見せてもらいます。
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その最中、いたるところに幅の広いヒノキの板がたくさん置かれています。
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遠目にはカウンター材に見えますが、近づいてラベルを見てみると「破風板」と書かれています。1尺(30cm)幅以上の板もあるようですし、厚みも4cm以上、長さは5mはあるであろうヒノキの無節板は、屋根の「破風板」として販売されていました。しかし、幅も厚みもカウンター材としても十分でトイレの手洗いカウンター程度ならつなぎ合わせることなく十分作れます。価格も「破風板」ということで、一般材木屋での売値の半額から1/3程度と格安!!今まで、コストを気にしながら杉にしようかそれとも集成材でないとだめだろうかと考えていたのが馬鹿らしくなる価格です。乾燥さえきちんとされていれば、ヒノキの無垢の階段もそこそこリーズナブルに作れそうです。

で、肝心の大黒柱です。まずはヒノキ。
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ほのかにピンクを帯びた白い地肌で針葉樹なので木目は直通で清楚な雰囲気です。無節と節のある一等材の両方置かれています。

座敷で映える色白で美しい無節ですが、生活空間に利用するには綺麗すぎるのと高級感が出すぎるのがいつも気になってます。

綺麗な活き節をほどよく持つ一等材が、表情豊かで愛嬌があって良いのではないでしょうか。写真中央の節が多い材はカントリー調に見えやすいので、ログハウス風の雰囲気になってしまいそうです。

ケヤキの大黒柱もありました。
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こちらは広葉樹なので板目が力強く男性的でたくましく感じます。が、材を選ばないと木の癖が強く反りや割れであとあと困ることになります。

紅白で癖があるのでよく乾燥させて利用しないといけないようなケヤキだと、桧の無節よりも安く入手できたりするようです。総赤身でおとなしく扱いやすそうなケヤキの良材も、桧無節と比べてそう高くはないようで、ケヤキの大黒柱を採用することとなりました。

せっかくの機会なので、案内してくださっている市場の専務にいろいろとお話を伺います。
プレカット工場と打ち合わせしていていつも気になっていた「国産材でリーズナブルに横架材(梁や胴差し)は調達できませんか?」と質問すると、「4mまででしたら、よく使われる米松と同程度で手配できますよ。」と回答を頂き、見せてもらったのが写真のヒノキの節ありの横架材です。とても綺麗です。化粧の梁としてもよく使われる目の詰まった米松の無節の良材よりも、個人的にははるかに雰囲気良く見えます。好みです。
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梁背は一尺三寸(39cm)までは問題なく手配できるようです。「長さ5m以上は少し割高かなぁ」というのが気になりますが、当たり前に使われる輸入材の米松を使わずに国産材だけで家が建つのに惹かれます。

で、この角材は木の中心を利用していますが、この横架材を取り残った両サイドの材料をスライスしたのが先ほどの「破風板」だそうです。そんなこともあり「破風板」が安いそう。商品名は「破風板」ですが、当然戸枠や窓枠、さては床板、はたまたカウンターなどいろいろと利用して欲しいと専務のお言葉。

いろいろと良い情報やヒントが入手でき、価値ある一日でした。建築主や現場監督以上に私一人はしゃいでしまった市場見学でした。

が、こういうところには、実施設計図を完成させる前、ちょうど基本計画がまとまった段階で、建築主と一緒に楽しく見学しながら住まいの夢を膨らませたいものです。

同じお金を使うなら、建てる直前になって「材料はこれです。」と言われるより、実物を見て気に入った材料を「この板はあそこのカウンターに。この柱はあの良く見える正面に持ってきましょう」と活かす設計をして思いのこもった住まいを建てる方が断然楽しく価値が高いはずです。

米松、米杉などの外材を使わず、ヒノキや杉、ケヤキなどの国産材を使ってこだわりのある住まいを建てたい方、ぜひご相談ください。設計が固まる前に、一緒に見学して夢を膨らませましょう!!
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by imtom | 2010-07-10 21:48 | 設計・監理の仕事 | Trackback | Comments(0)

兵庫県姫路市で住宅設計を生業とする建築士、今村智則の徒然記


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