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土台に何を選ぶべきか

住宅は、耐震、防犯、健康、バリアフリーなど様々な面で安全安心であるべきです。それと共に、非常に高い耐久性が求められるべきです。なぜ「求められるべき」と書くかというと安さ(容易な施工)を求めるあまり耐久性がないがしろにされているからです。現在の木造住宅の平均寿命が26年だそうです。35年ローンだと払い終わるまでに建替えないといけないというおかしな事になります。

住宅の強度(耐震性)と耐久性に大きく関係するのが、骨格となる構造材です。仕上げ材は容易に改修できますが、構造材を改修するとなると大事で、場合によっては建て替えという事にもなりかねません。木造の主要構造材である土台、柱、梁に利用する木材は、国産・輸入材、無垢・集成材など数ある中で何が良いのでしょうか。

まずは土台から。
土台に何を選ぶべきか_e0000025_17574506.jpg
地面に一番近く床下という環境なので、湿気による腐朽とシロアリの食害という危険に晒されます。腐朽に強くシロアリの食害を受けにくい樹は、ヒノキの仲間(ヒノキ、ヒバ等)とクリがあります。
腐りにくい上に硬く強度的にもメリットの高いのがクリ材ですが、とても貴重でコスト面からも入手困難です。あと乾燥による収縮変形(アバレ)が大きく、取り扱いが難しいので職人さんの慣れが必要でしょう。
ヒバも腐り難くシロアリを寄せ付けませんが、生産量が少ないうえ青森が主な生産地で流通に限りがありますし高価なのでこれも採用は難しいでしょう。
その中、は人工的な植林も進み生産量が多く入手が容易ですし、土台に使うなら節有り材で良いのでそう高いものにはなりません。
土台に何を選ぶべきか_e0000025_18013310.jpg
といっても桧なら何でも良いと言うのではなく、腐り難くシロアリの食害に強いのは心材(赤身)と呼ばれる樹の中心付近の材に限られます。樹皮側の辺材(白太)と呼ばれる部分は防腐・防蟻効果も弱く、シロアリの食害の危険性があります。

しかし、世間一般で多く利用されているのは大量に輸入されている安価な米栂ではないかと思います。非常に安価なのですが米栂は湿気に弱いため腐りやすくシロアリの食害を受けやすいと言う重大な欠点を抱えています。それを薬剤注入が容易という特性を利用して防腐防虫加工を施して補っています。この薬品注入が確実に行われているのか?確実に行われているとしても薬品の効果の持続期間も気になります。持続期間が長く効果が強いほど人への健康被害の懸念も大きくなります。

「米栂 土台」でサイト検索すると、危険は叫ばれても安心に結びつく情報は出てきません。それでも多くの方がその情報を知らずに米栂土台の家を買われるのは、悲しく非常に残念なことです。

ちなみに、10.5×10.5(cm)で長さ3mの薬剤注入された米栂材の価格は1本¥2,100-ほど。同じ寸法の桧材は¥2,900-ほどのようです。延べ床面積35坪の2階建の住宅で必要な土台は75m(25本)程度でしたが、30本としてもその差額は¥24,000-ほど。総工事費から見ると微々たる金額に見えますが、坪単価で¥700-の差が土台だけで生じる計算です。(10.5cm角の材でコスト比較していますが、私は12cm角以上を採用しています。)

この微々たる金額をもケチってより安く家を売ろうとする現在の住宅産業と、このような検討をしないのか知識が無いのか当たり前のように「土台:米栂防腐材」と図面に書き込む建築士がいることは事実です。

家族の健康面での安心、家の耐久性を考えても、金額以上のメリットが桧にはあると思います。という事で、私がオススメというか標準で採用する土台はの心材(赤身)です。さらにコストがかかってもより良い物をと言う方には、青森ヒバクリが良いでしょう。
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by imtom | 2007-11-15 18:11 | 木造住宅にまつわる事柄 | Trackback | Comments(0)

兵庫県姫路市で住宅設計を生業とする建築士、今村智則の徒然記


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