柱に何を選ぶべきか
2007年 11月 26日
土台と違って量が多く、コストに与える影響も大きくなります。構造的な強度や耐久性も重要なポイントです。
壁の内部結露による湿気、外壁部での漏水などが無いよう工法や仕様は改善していますが、万が一の場合にはこれらの理由で柱が湿潤状態にさらされる可能性があります。また長期的には、外壁のメンテナンス不足による雨水の侵入の可能性が十分考えられます。これらの事を考えると、耐湿性・耐朽性も重要なポイントです。
地面に近い部分では土台と接していますから、湿気に強い事、シロアリに食われにくい事が必要条件です。シロアリが土台を通り越して柱に来る危険性が全く無いとは言い切れません。
柱としてよく利用されるのは、杉、桧、米栂(ヘムロック)などの無垢材、そしてホワイトウッドの集成材です。
力学的な強度の面で一番強いのが桧で、次に米栂、杉、ホワイトウッドで同じくらいでしょうか。よく問題視されるホワイトウッドですが、集成材に加工することで強度は増しているので強度の面では問題ありません。杉のほうが強度不足を懸念する専門家が多いでしょう。
湿気とシロアリに強いのは桧で、次いで杉となります。と言っても、どちらも耐朽性・防蟻性のある赤身の心持ち材の話です。白太の部分は水湿に弱く腐りやすいので注意が必要です。湿気に弱く耐朽性に欠けシロアリに注意しなければならないのが、米栂とホワイトウッドです。特にホワイトウッドは湿気厳禁でシロアリに要注意です。米栂とホワイトウッドは、薬剤による防腐防蟻処理が必要でしょう。
価格の面を比較すると、桧が最も高価です。次いで、米栂と杉。特に杉は国内に多量にあるので、運送料も低く抑えられます。最も安価なのが輸入材のホワイトウッドですが輸入材なので運送料がかかり、国産の杉とそう大差は無いはずです。
やはり桧は高価ながら性能的には絶対の安心感があります。杉はどれをとっても中間に位置します。要注意から危険と言ってよいのが、米栂とホワイトウッドです。
集成材について
接着剤で張り合わせた集成材は、絶対安全と言い切れない点が幾つかあります。まず、集成材の柱で接着層が剥離するという事例が何件か発覚しています。接着剤の改良と製作過程での品質管理で解消するしかなく、現場の段階でチェックできる内容ではありません。
また、長期的な耐久性の面で疑問が生じます。と言うのも無垢の木と違って100年以上の実績がありません。何事も無く100年以上持つ可能性もありますし、あと数十年後に大地震などで一斉に劣化が表面化し社会問題となる可能性もあります。
これらの点で誰にも良否が判断できず、「絶対安全」とは言い切れません。ただ、傷のある部分を取り除き接着するので強度や見た目の品質が均一になるのはメリットでしょう。しかし、数十年以上という耐久性を重視すると、集成材を積極的に利用できないと言うのが本音です。
一方の無垢材は、同じ樹種でも産地や生産者によって強度が異なるようですし、含水率や節などにより強度・品質が一本一本異なるのが最大の欠点でしょう。信頼できる生産者、そして設計者・施工者の木を見極める目が必要です。
ちなみに、10.5×10.5(cm)で長さ3mのホワイトウッド集成材の見積り価格は1本¥2,500-ほど。12×12(cm)で長さ3mの桧材は¥4,100-ほどのようです。太さが異なるので単純比較はできませんが・・・。
延べ床面積35坪の2階建の住宅で必要な管柱がおよそ80数本。85本で計算しても、その差額は14万円ほどになります。この差額を多いと感じますか?